松田主水のプログレ見聞録:第2回

[プレ・プログレの名盤・名曲その1]

1969年10月10日リリースの英国プログレ金字塔、キング・クリムゾンのデビュー・アルバム「クリムゾン・キングの宮殿」に至るまでのプレ・プログレと呼べる作品を時系列に紹介していきます。


サージェント・ペパーズ以降、それまでシンプルなロックンロールやR&Bを演奏していた英国ブリティッシュビート・バンドはビートルズに追いつけとばかり、ジャズやクラシックの要素やオーケストラを導入した作品やコンセプト・アルバムを発表して方向転換していきます。


当時は他のバンドを出し抜くように月間ペースで新しい音楽スタイルが登場してくるような非常に活気に満ちた時代でした。


①プロコル・ハルム「青い影」


1967年5月リリース曲。

サージェント・ペパーズ発表(1967年6月)直前にリリースされた。


詩人キース・リード(バンドに専門の作詞家がメンバーとして在籍しているというのもクリムゾンに少なからず影響を与えている可能性がある)による難解な歌詞とマシュー・フィッシャーのクラシカルなオルガンが印象的。英国でヒットチャート1位を記録するスタンダードとなった。


https://youtu.be/F6AaRtQFn5Y

②ムーディー・ブルース「デイズ・オブ・フューチャー・パスト」


1967年11月リリースの初の本格的コンセプト・アルバム。


サージェントは曲的な一貫性はなく、いわば後付けでアルバム全体のイメージを作り上げたものだったが、このアルバムは朝から夜に至る1日をナレーションも交えながら全体で1曲のように表現しているところが画期的である。その意味では史上初のプログレ・アルバムと呼んで差し支えない。


大々的にオーケストラを導入していることも特筆すべきである。


また、プログレの必須アイテムの一つである、磁気テープを鍵盤でコントロールすることによってストリングスの代用が出来る原始的なサンプリング・キーボード、メロトロンをいち早く取り入れたことでも有名である。


メンバーのキーボード奏者、マイク・ピンダーはメロトロンの出荷前検査の仕事をしていたらしく、独自のカスタマイズによる演奏技術に長けた人だったらしい。彼はビートルズにメロトロンを紹介し、その結果「ストロベリーフィールズ・フォーエバー」での使用に至ったということだ。


アルバムの中からシングルとして同日リリースされた名曲「サテンの夜」を。


https://youtu.be/JipcjWOJ0Rg

プログレ、プログレと声高に叫んでも、何それ?っていう人は多いと思います。

キング・クリムゾンのデビュー・アルバム「クリムゾン・キングの宮殿」に至るまでのプレ・プログレと呼べる作品を時系列に紹介するその2回目。