松田主水のプログレ見聞録:第4回

[プレ・プログレの名盤・名曲その3]

プレ・プログレ作品を時系列に紹介するその3回目。

1969年はロックにとって大きな節目となった年、そして来たるべき「クリムゾン・キングの宮殿」リリースその前夜。

プログレに欠かすことの出来ない要素の一つとして、それまでギター、ベース、キーボード、ドラムという編成が当たり前だったロック・バンドにクラシックやジャズでしか用いられていなかったバイオリンやサックスといった楽器が固定パートとして登場することになる。

それらのパートをフィーチャーした2つのバンドによる演奏を紹介したい。

勿論、クリムゾンにも両楽器は重要なパートとして存在していた。


①フェアポート・コンベンション「リージ・アンド・リーフ」


1969年11月リリース。

残念ながら、このアルバム録音時のメンバーでの演奏を収めたライブ映像が手に入らず、1971年グラストンバリーでのデイブ・スウォーブリックのバイオリンを中心とした演奏を紹介する。

フェアポート・コンベンションの功績は、ボブ・ディランから受けた影響を電化した英国トラディショナル・フォークへと応用し、ブリティッシュ・エレクトリック・トラッドという新たなジャンルを生み出したことである。

初期にメンバーとして在籍していた女性ボーカリスト、ジュディ・ダイブルが脱退後に初期クリムゾンに加入したことは興味深い事実である。(メンバーのイアン・マクドナルドの恋人だったということも関係あるとは思うが)

また、初期クリムゾンの叙情的な作品に影響を与えていると思われる。

フェアポート・コンベンション

ジュディ・ダイブルのボーカルによる初期クリムゾン(ジャイルズ、ジャイルズ&フリップ)「風に語りて」

②コロシアム「ヴァレンタイン組曲」

1969年11月リリース。

ジャズ・ロックという、その名の通りジャズとロックンロールを融合した、プログレの中でも核を成すカテゴリーを確立した代表的なグループ。

リーダーでドラマーのジョン・ハイズマンをはじめ、サックスのディック・ヘクストール・スミス、キーボードのデイブ・グリーンスレイドといった高度なテクニックを持ったプレイヤーで構成されていた。

クリムゾンも彼らコロシアムに恐らく影響を受け、意識していたのではないか。「21世紀の精神異常者」(あえて当初の邦題)にコロシアムの影響を聴き取れる。

コロシアム「ヴァレンタイン組曲」

プログレ、プログレと声高に叫んでも、何それ?っていう人は多いと思います。

1969年10月10日リリースの英国プログレ金字塔、キング・クリムゾンのデビュー・アルバム「クリムゾン・キングの宮殿」に至るまでのプレ・プログレと呼べる作品を時系列に紹介していきます。

キング・クリムゾンのデビュー・アルバム「クリムゾン・キングの宮殿」に至るまでのプレ・プログレと呼べる作品を時系列に紹介するその2回目。